新築マンション平均1億円超えの理由は?首都圏の価格高騰と今後【2026年10月】

首都圏のタワーマンションと上向きの矢印、金貨のイラスト(新築マンション価格高騰のイメージ)

首都圏の新築マンションの平均価格が、2026年度の上半期(4〜9月)で1億1,494万円になりました。半期ベースで1億円を超えるのは、調査が始まった1973年以来はじめてです。不動産経済研究所が10月20日に発表しました。

「1億円ってことは、みんなそんな家を買っているの?」と思った人もいるかもしれません。実はそこが今回のいちばん面白いところで、平均を引き上げているのは一部の超高額物件です。売れ行き自体は鈍っていて、在庫は増えています。つまり「高いけれど、飛ぶように売れているわけではない」というのが実態に近い話です。この記事では、数字の中身と、なぜここまで上がったのか、住宅ローンの金利との関係まで、順番にほどいていきます。

目次

新築マンション平均1億円超えとは?発表の中身を整理

2026年度上半期の主な数字

発表された数字をまず表にまとめます。対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県で、2026年4月から9月に売り出された新築分譲マンションです。

項目2026年度上半期前年同期との比較
1戸あたりの平均価格1億1,494万円21.1%アップ(2,005万円増)
1平方メートルあたりの単価170.0万円18.8%アップ
発売戸数8,601戸6.0%減
初月契約率62.8%0.9ポイントアップ

平均価格も単価も、4年連続で過去最高を更新しました。一方で、発売戸数は2年ぶりに減っていて、朝日新聞によると過去2番目の少なさです。「戸数は減るのに価格は上がる」という、少し不思議な組み合わせになっています。

初月契約率というのは、売り出した月のうちにどれだけ契約が決まったかを示す数字です。一般に70%が好調の目安とされていますが、今回の62.8%は3年連続で70%を下回りました。

エリアで見ると、上がっているのは東京23区と千葉

地域別に見ると、様子はかなり違います。東京23区は1億7,925万円で、前年同期から34.7%も上がりました。千葉県も24.1%アップの7,376万円です。反対に、神奈川県は1.6%下がって7,716万円、埼玉県は2.1%下がって6,457万円でした。

エリア平均価格前年同期比
東京23区1億7,925万円34.7%上昇
東京都下(23区以外)7,978万円15.9%上昇
神奈川県7,716万円1.6%下落
千葉県7,376万円24.1%上昇
埼玉県6,457万円2.1%下落

つまり「首都圏はどこでも1億円」ではありません。東京23区の数字がけた違いで、そこに引っ張られて全体の平均が1億円を超えた、と読むのが正確です。神奈川や埼玉に住んでいる人からすれば、「うちの近くはそこまで高くないよ」という感覚のほうが近いはずです。

なぜ平均1億円を超えた?価格が高騰した3つの理由

理由1:建築費と人件費が上がり続けている

いちばん大きいのは、建てるためのお金が上がっていることです。読売新聞によると、建設物価調査会の建設資材物価指数は9月の全国平均で153.4(2015年を100とした数字)になり、5年間で34%上がりました。人手不足で職人さんの人件費も上がっていて、大手不動産会社は「建設のコストは膨れ上がっている」と話しています。

コストが上がれば、売る側は価格に載せるしかありません。しかも、これは一時的な値上がりではなく、簡単には元に戻りにくい性質のものです。

理由2:売り出される物件が「都心の大型・高額」に偏っている

2つ目は、平均の出し方にかかわる話です。マンションを建てられる土地が減っているため、不動産会社は駅から近いなど、条件のいい場所に絞って開発しています。その結果、高額な物件の割合が増え、平均が押し上げられます。

朝日新聞によると、東京23区では中央区で、千葉県では船橋エリアで、タワーマンションなどの大規模な供給がありました。読売新聞は、今年7月に東京都港区で平均5億円前後の物件が売り出されたことが平均を大きく引き上げたと伝えています。実際、7月単月の首都圏の平均は1億6,493万円で、東京23区は2億6,520万円と過去最高でした。

一方、9月だけを見ると、首都圏の平均は9,552万円と1億円を下回り、前年同月より4.1%下がっています。発売戸数も1,142戸で、前年同月から40.1%減りました。大型物件が多かった月と少なかった月で、平均がこれだけ上下するわけです。

理由3:投機的な買い方も指摘されている

読売新聞は、投機目的の売買が価格を押し上げているとの見方も強いと伝えています。国土交通省は投機的な取引を抑える措置を講じる考えを示している、とのことです。ただ、転売を狙った不動産投資が続いているのが実情だ、というのが記事の書きぶりでした。どのくらいの割合が投機なのかは、公的な数字がはっきりしないので、ここでは「そういう見方がある」という紹介にとどめておきます。

平均1億円は本当に「みんなが買える値段」なのか?

平均値のからくりを知っておくと雑談で強い

ここで少し、統計の話をします。平均というのは、全部の物件の価格を足して戸数で割った数字です。たとえば9戸が5,000万円で、1戸が5億円なら、平均は9,500万円になります。ほとんどの物件が5,000万円なのに、平均は1億円近くに見えるわけです。

今回も、東京23区の高額な大型物件が平均を大きく動かしています。ですから「平均1億円」という見出しを見て、「普通の人が買う新築は1億円なんだ」と受け取ると、実際の感覚とずれてしまいます。ちなみに不動産経済研究所は、戸あたり価格の「中央値」も別に発表しています。ニュースで平均が話題になったときは、中央値もあわせて見ると実態がつかみやすくなります。

買う人はどうしているのか

読売新聞には、東京都内の30代の会社員の話が出ています。子育てと通勤を考えて文京区で探していたものの、予算内の物件が見つからず、半年後に別のエリアで購入したそうです。「とても手が出ない」と感じて、探すエリアを広げたり、中古に目を向けたりする人が増えている、というのが今の空気感です。

実際、不動産経済研究所の松田忠司上席主任研究員は、朝日新聞の取材に「購入希望者の動きは、金利の上昇により鈍くなってきている」と話しています。売れ行きが鈍ることで、9月末時点の販売在庫は6,775戸と、前年同期より896戸増えました。

住宅ローン金利の上昇とどう関係する?毎月の返済で考える

日銀の利上げと、銀行のローン金利

価格と同じくらい大事なのが、お金を借りるときの金利です。読売新聞によると、日本銀行は6月に政策金利を0.75%程度から1.0%程度に引き上げました。それを受けて、大手銀行5行は9月と10月に住宅ローン金利を相次いで引き上げ、契約者の8割を占める変動型の基準金利は年3.375%になっています。

金利で毎月の返済はどれだけ変わる?

金利が上がると、同じ金額を借りても返す総額が増えます。わかりやすいように、7,000万円を35年かけて返す場合を、簡単な計算(元利均等返済、ボーナス払いなし、ここでは優遇などを考えない単純な試算)で比べてみます。

年利毎月の返済額(目安)総返済額(目安)
1.0%約19.8万円約8,299万円
3.375%約28.4万円約1.19億円

金利が1.0%のときと3.375%のときでは、毎月の返済が約8万6,000円、総額では3,600万円ほど違ってきます。実際には、優遇金利や頭金、返済期間によって数字は変わりますが、「金利が上がると、買える家の予算が下がる」という理屈はこの試算でも見えます。

松田さんも、読売新聞に「マンション市場にとって金利が上がることによる利点はない。価格の上昇傾向も続くとみられており、今後はマンション需要が冷え込む可能性もある」と話しています。価格は高止まり、買う側の予算は金利で目減り、というダブルパンチの形です。

関係者・X上の反応は?

専門家と報道機関の見方

不動産経済研究所の松田さんの見方は、各社の報道でほぼそろっています。価格は「ゆるやかに上がり続けるのでは」という見通しを示す一方で、金利の上昇で需要が冷え込む可能性も指摘しています。朝日新聞とテレビ朝日は、9月の平均価格が2カ月連続で1億円を下回ったことにも触れていて、「高い一方で、動きは変わり始めている」という書き方でした。

なお、今年7月21日に発表された1〜6月(暦年の上半期)の数字でも、平均価格は1億135万円と、すでに1億円を超えていました。今回は4〜9月(年度の上半期)での初の1億円超え、という違いがあります。ニュースによって「上半期」の範囲が違うので、聞いたときは「いつからいつまでの話?」と確認すると混乱しません。

Xでの話題の様子

Xでは、朝日新聞やロイターなどの報道機関の公式アカウントが、月ごとの平均価格を速報で伝えています。個人の投稿では、「値下げに踏み切る物件が出てきた」「金利の高さが気になる」といった声が目立ちます。ただ、こうした個人の感想や予想は、あくまで一人ひとりの見方です。この記事では事実としては扱わず、公式発表と大手報道の数字だけを土台にしています。

私たちの生活・仕事への影響は?

マンションを買う予定がない人にも関係する話

「自分は賃貸だから関係ない」と思うかもしれませんが、実は無関係ではありません。新築が高くなると、中古の価格にも波及しやすく、そのぶん家賃にも上がる圧力がかかります。実際に、近ごろは値上げのニュースが相次いでいます。たとえば食料品の消費税1%法案や、白菜の高騰のように、暮らしのコスト全体がじわじわ上がっている流れの一部、と考えるとつながって見えてきます。

これから家を買うかもしれない人は

買う予定がある人にとって、いまは判断がむずかしい時期です。待てば下がる保証はなく、建築費が下がる材料は見当たりません。一方、金利が上がる局面なので、無理のない返済額から逆算するのが基本になります。次のような点を、買う前に整理しておくと安心です。

  • 毎月の返済額を「いまの家賃+少しの余裕」で考える。金利が上がっても払えるかを確認する
  • 変動金利か固定金利かで、金利が上がったときの影響がどう変わるかを確認する
  • 新築だけにこだわらず、中古やエリアを広げた場合の価格も見ておく
  • 頭金と、購入にかかる諸費用(登記や税金など)の分も用意しておく

もちろん、住まいは暮らし方や家族の事情で答えが変わります。ここで書いたのは一般的な考え方で、個別の買い時を判断するものではありません。

雑談で使えるひと言・ネタ3つ

ネタ1:「1億円超えって言っても、平均のからくりがあるらしいよ」

平均は一部の超高額物件に引っ張られる、という話は、聞いた人が「なるほど」となりやすいネタです。9戸が5,000万円でも1戸が5億円なら平均は9,500万円、という例えを添えると伝わります。

ネタ2:「23区は1億8,000万円近いのに、埼玉と神奈川は下がってるんだって」

東京23区が34.7%上がった一方で、神奈川と埼玉は下がっています。「首都圏」とひとくくりにできない、という意外性が会話のきっかけになります。

ネタ3:「9月は1億円を割ってて、在庫も増えてるらしい」

9月の平均は9,552万円で、2カ月連続で1億円を下回りました。在庫は前年より896戸増えています。「高いけど、実は売れ行きは鈍い」という一面を知っていると、ニュースの印象が少し変わります。

新築マンションの価格に関するよくある質問

Q. 新築マンションの平均価格が1億円を超えたのは、今回が初めて?

半期ベースで初めてです。調査が始まった1973年以来、年度の上半期で1億円を超えたのは今回が初とされています。月単位では、これまでにも1億円を超えた月は何度かあります。

Q. 新築マンションの価格は今後も上がる?

不動産経済研究所は、コストの面から今後もゆるやかに上がり続けるとの見方を示しています。ただし、金利の上昇で購入を控える人が増える可能性があるとも指摘していて、先行きははっきりしません。

Q. 平均価格と中央値の違いは?

平均は全部を足して戸数で割った数字で、高額物件の影響を受けやすいものです。中央値は、価格順に並べたときのちょうど真ん中の値で、極端に高い物件に引っ張られにくい特徴があります。

Q. 10月の発売戸数はどうなる?

不動産経済研究所は、10月の首都圏の発売戸数を1,500戸程度と見込んでいます。次の月次発表は11月19日の予定です。

まとめ

首都圏の新築マンションの平均価格は、2026年度の上半期で1億1,494万円になり、半期で初めて1億円を超えました。背景には、建築費や人件費の上昇と、東京23区での大型・高額物件の供給があります。

ただ、平均は一部の高額物件に引っ張られた数字ですし、9月は1億円を下回り、在庫も増えています。住宅ローン金利も上がっているため、市場の動きはこれから変わっていくかもしれません。ニュースで「平均1億円」と聞いたときは、エリアや月ごとの違い、金利の動きもあわせて見ておくと、雑談でもひと味違う話ができます。次の発表は11月19日の予定です。

参考ソース

  • 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年度上半期」(2026/10/20) https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/689/2649_s.pdf
  • 朝日新聞「首都圏の新築マンション価格、4~9月で初の1億円超、在庫数は増加」(2026/10/20) https://www.asahi.com/articles/ASVBN2194VBNULFA00HM.html
  • 読売新聞「首都圏新築マンション1億円突破「とても手が出ない」、建設費高騰などで半期初…金利上昇で需要冷え込む恐れも」(2026/10/20) https://www.yomiuri.co.jp/economy/20261020-GYT1T00471/
  • 時事通信「首都圏マンション、初の1億円台=東京23区も最高値、コスト上昇で―今年度上半期」(2026/10/20) https://www.jiji.com/jc/article?g=eco&k=2026102000613
  • サンスポ「4~9月の首都圏マンション、初の1億円超え 21%上昇」(2026/10/20) https://www.sanspo.com/article/20261020-UTBVJFNVBRJAFCAYQIWHG4P7KU/
  • テレビ朝日(ANN)「首都圏マンション平均価格 半期で初の1億円超 大規模物件の販売相次ぐ」(2026/10/20) https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000541546.html
  • R.E.port「26年度上半期の首都圏マンション、2年ぶりの発売減」(2026/10/20) https://www.re-port.net/article/news/0000083168/
  • 日本経済新聞「首都圏新築マンションの7月平均価格、最高の1.6億円 港区で大型物件」(2026/8/20) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC202M00Q6A820C2000000/
  • 時事通信「首都圏新築マンション、1億円突破 都心部周辺がけん引―26年1~6月」(2026/7/21) https://www.jiji.com/jc/article?g=eco&k=2026072100856
  • 朝日新聞公式X(9月17日、8月の平均価格9,770万円の速報) https://x.com/asahi/status/2100488385987277200
  • ロイター公式X(9月17日、8月の発売戸数の速報) https://x.com/ReutersJapan/status/2100464792980873313
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