JAXAの火星衛星探査機「MMX」は、10月20日(火)の午前4時41分03秒に、H3ロケット10号機で種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。つまり、今夜が明けるよりも前、日付が変わった20日の未明の出来事です。天候などで延期になった場合に備えて、11月上旬までの予備期間も用意されています。
目的は、火星のまわりを回る小さな衛星「フォボス」に降りて砂や岩石を取り、地球へ持ち帰ること。成功すれば、火星圏から試料を持ち帰る世界初の例になります。この記事では、打ち上げの時刻と見られ方、なぜ火星ではなくフォボスなのか、そして朝の雑談で使えそうなネタを、10月19日朝の時点の情報でやさしく整理します。
なお、天気や機体の状態で延期が決まることもあります。当日の最新情報は、JAXAの特設サイトや公式のXで確認してください。
MMX打ち上げはいつ?時刻・場所・ライブ配信
打ち上げ予定は10月20日(火)午前4時41分03秒
JAXAが発表している予定を表にまとめます。時刻は日本時間です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 打ち上げ予定日時 | 2026年10月20日(火)午前4時41分03秒 |
| ロケット | H3ロケット10号機(H3-24L形態) |
| 打ち上げ場所 | 鹿児島県・種子島宇宙センター(吉信射場) |
| 予備期間 | 10月21日から11月上旬まで(日ごとに時刻を設定) |
| 行き先 | 火星の衛星フォボス(火星圏への到着は2027年) |
予備期間のぶんは、打ち上げ時刻が毎日少しずつ変わります。8月の発表では11月7日まで、10月18日の英語版の発表では11月9日までと書かれているので、延期になったときはJAXAの最新の発表を見るのが確実です。
ライブ配信はどこで見られる?
JAXAが公式のライブ中継を行います。ほかに、TBS NEWS DIGのYouTubeでも、南日本放送が種子島宇宙センターからの映像を生配信すると案内しています。出勤前の時間帯に当たるので、スマホで見られる配信は便利です。
JAXAは「夜空のパブリックビューイング」という企画も紹介していて、全国で夜空を見上げて見送ろうと呼びかけています。
H3ロケット10号機は何が特別?
今回のロケットには、これまでと違う点がいくつもあります。H3としては初めて、地球の周りではなく火星へ向かう「惑星探査」を担当します。形態は「24L」と呼ばれ、先頭の「2」は第1段のメインエンジン(LE-9)の数、次の「4」は両脇につく固体ロケットブースター(SRB-3)の数です。最後の「L」は、探査機を包むカバー(フェアリング)が長いタイプだという意味です。
この長いフェアリングをH3で使うのは初めてで、24Lの形態としても初飛行です。ブースターが4本つく形はH3でもっとも力が強く、今回のような大きな探査機を火星へ向かう軌道に送り込むために選ばれました。
H3は、2025年12月の8号機で打ち上げに失敗しました。そのあとJAXAが原因を調べて対策を進め、2026年6月の6号機、8月11日の9号機(測位衛星「みちびき」7号機)と飛行を重ねています。10号機は、失敗後3回目の打ち上げです。信頼を取り戻せるかどうかという点でも、注目されています。
火星の衛星に降りる?MMXとはどんな探査機
MMXは「Martian Moons eXploration」の略
MMXは、日本語では火星衛星探査計画と呼ばれます。火星には「フォボス」と「ダイモス」という2つの小さな衛星があり、MMXが降りるのはフォボスです。探査機は高さ約5メートル、重さは約4.5トンもある大型で、機体は三菱電機が作りました。
飛行のしくみも少し変わっています。燃料を無駄なく使うために、探査機は3つの部品(モジュール)を重ねた形で飛び、役目を終えたものから切り離します。火星に着いたら切り離す「往路モジュール」、観測や着陸を担当する「探査モジュール」、そして試料を載せて地球へ戻る「復路モジュール」の3つです。
旅のスケジュールは約5年
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年10月20日 | H3ロケット10号機で打ち上げ予定 |
| 2027年 | 火星圏に到着、フォボスなどを観測 |
| 到着の約1年半後 | フォボスに着陸して砂や岩石を採取(10グラム以上が目標) |
| 2030年 | 火星圏を出発 |
| 2031年 | 試料の入ったカプセルを地球へ(オーストラリアに着陸予定) |
打ち上げから帰還まで、ほぼ5年かかる計画です。2010年に小惑星イトカワの砂を持ち帰った「はやぶさ」、2020年に小惑星リュウグウの砂を持ち帰った「はやぶさ2」に続く、日本のサンプルリターンの新しい挑戦と言えます。
日本のミッションとして最大級の国際協力
MMXには、科学観測の機器が11個積まれています。そのうち4つは、NASA(アメリカ)、CNES(フランス)、DLR(ドイツ)などの海外の機関が提供したものです。JAXAは、日本が主導する月・惑星探査としては最大規模の国際共同ミッションだと説明しています。
たとえば、フランスとドイツが共同で作った小型の探査車「IDEFIX(イデフィックス)」を、フォボスの表面に届けます。また、NHKとJAXAが共同で開発したスーパーハイビジョンカメラも積まれていて、火星圏の4K・8K映像の撮影が予定されています。
砂を取る装置も2種類あります。筒をフォボスの地面に突き刺して取る方式(C-SMP)はJAXA、圧縮したガスを吹きつけて砂を集める方式(P-SMP)はNASAが担当しました。方式の違う装置を2つ積んでおくことで、試料を取りそこねる危険を減らす狙いです。
なぜ火星ではなくフォボス?ここが世界初と言われる理由
火星そのものに降りるより、帰ってくるのがずっと楽
「火星に行くなら、火星に降りればいいのでは?」と思うのが自然ですよね。理由は「帰り道」にあります。火星の重力は大きいので、降りたあとに飛び立つには、とても大きなエネルギーが必要です。一方フォボスは、重力が火星の数百分の1しかありません。少ないエネルギーで離れられるので、試料を持って地球へ戻る計画が現実的になります。
フォボスは、火星の表面から約6,000キロのところを回っている、直径20〜30キロほどの小さな天体です。地球と月の距離(約38万キロ)と比べると、火星にぴったり寄り添っているのがわかります。
フォボスの砂には「火星のかけら」が混ざっているかも
フォボスが火星のすぐそばにあるため、火星に隕石がぶつかって宇宙へ飛び散った砂や岩が、フォボスに降り積もっていると考えられています。つまり、フォボスの砂を調べれば、火星へ降りなくても、昔の火星の表面の情報が手に入るかもしれません。
フォボスはどう生まれた?ふたつの説
もうひとつの目的は、フォボスとダイモスの「生まれ」を決着させることです。有力な説は2つあります。ひとつは「捕獲説」で、遠くから来た小惑星が火星の重力につかまって、そのまま回るようになったという考えです。もうひとつは「巨大衝突説」で、火星に大きな天体がぶつかって飛び散った破片が集まって衛星になったという考えです。
採ってきた砂の成分を調べると、どちらが正しいのかがわかると期待されています。さらに、水や生命のもとになる有機物が、太陽系の初期にどう運ばれたのかを探る手がかりにもなります。
着陸がむずかしいのは「重力が地球の約2000分の1」だから
技術者たちがいちばん悩んだのは、着陸だったそうです。プロジェクトマネージャの川勝康弘さんは、場所によっては地球の2000分の1ほどしか重力がないので、風船を落としたときのように跳ねて向きが変わってしまうと説明しています。
その対策として、着陸脚を大きく広げて重心を低くし、着陸のときに緩衝材をつぶして衝撃を吸収する構造にしました。川勝さんは「挑戦と無謀は紙一重」とも語っていて、10年前なら挑戦の域を超えていたけれど、はやぶさ2でサンプルリターンの技術を確立できたから実現できる、という趣旨の話をしています(鹿児島テレビの取材)。
打ち上げは見られる?関係者の声と見え方
東北より南の広い範囲で、ロケットの光が見えるかも
今回の打ち上げは日の出前なので、ロケットの見え方に条件がそろっています。アストロアーツによると、飛行コースは東向きで、東北から南の広い範囲でロケットを観測できる可能性があります。同じ条件だった9号機でも、0等級の明るさで観測されたそうです。
| 打ち上げからの時間 | 見えるもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 〜約1分45秒 | 固体ブースターの赤い噴射炎 | 射場から300km(条件がよければ500km)の範囲で見える可能性 |
| 約1分50秒ごろ | ブースター分離の2回の閃光 | 見逃しやすい |
| 約5分45秒以降 | 太陽の光に輝くロケット本体(約1等級) | 高度240km付近から。2つの光点に見えることも |
| 翌21日未明以降 | 遠ざかるMMX本体(約16等) | 肉眼では見えず、撮影向き |
ブースター分離の時刻は、燃焼終了の10秒後とされています。燃焼が終わるのは、打ち上げのおよそ100秒後です。ただし、実際の飛行経路は公開されていないため、アストロアーツは、見え方の図は過去の打ち上げからの推測で、精度は保証できないとしています。見に行く場合は、雲が少ない東から南の空をチェックしましょう。
プロジェクトチームの思い
鹿児島テレビの取材では、川勝さんが「この10年一緒に走ってきたので今、子供を送り出す気持ち」と語り、探査機に向けて「頑張って楽しんでこいよ」と声をかけたそうです。軌道設計を担当している霧島市出身の池田人さんは「まずは打ち上がって、ちゃんと運用ができるかどうか少し心配」と話しています。
JAXAは10月18日に、打ち上げ時刻を改めて発表しました。私が確認できた範囲では、延期の発表は出ていません。JAXAや関係者のX投稿も検索してみましたが、報道より新しい公式の情報は見つかりませんでした。
私たちの生活への影響は?ニュースの見方
MMXの成否が、すぐに私たちの暮らしを変えるわけではありません。ただ、ロケットの打ち上げが続けて成功すれば、日本の衛星や探査機を、自分たちのロケットで宇宙へ送れるという安心につながります。H3は、GPSの代わりになる「みちびき」のような衛星や、宇宙ステーションへの補給機も運ぶ、日本の主力ロケットです。
また、打ち上げが失敗した場合は、原因調査のためにしばらく次の打ち上げが止まる可能性があります。8号機のときがそうでした。そう考えると、10号機の成功は、日本の宇宙開発のスケジュール全体にとっても大事な一歩です。
雑談で使えるひと言ネタ3つ
ネタ1:「火星の月」は2つあって、どちらもジャガイモみたい
フォボスとダイモスは、どちらも丸くなくて、ゴツゴツした形です。フォボスは火星に近いところを回っていて、直径はたった20〜30キロほどしかありません。「月」と呼ぶには、ずいぶん小さいですよね。
ネタ2:「地球の2000分の1の重力」ってどんな世界?
体重60キロの人が乗ったとして、感覚としては30グラム程度のことになります。ジャンプすると、そのまま宇宙へ飛んでいってしまいそうです。川勝さんが「風船を落としたとき」にたとえたのも納得です。
ネタ3:打ち上げは朝4時41分、でもロケットは東に飛ぶ
朝の4時台に打ち上がるのは、日の出前の暗い時間帯です。ロケットは東向きに飛ぶので、通勤前に空を見上げて、「あの光、MMXかもね」と話せたら、ちょっと自慢できるかもしれません。
ただし天気や機体の状況によって延期になることもあるので、会話のなかでは「予定は4時41分」と、予定であることを添えておくと安心です。
MMX打ち上げについてよくある質問
MMXの打ち上げは何時から?ライブ配信はいつから見られる?
打ち上げ予定は、10月20日(火)午前4時41分03秒です。JAXAがライブ中継を行います。配信の開始時刻は、JAXAの特設サイトで確認してください。
MMXが延期になったらどうなる?
10月21日から11月上旬までの予備期間があり、その間に打ち上げが行われる予定です。予備期間中は、打ち上げの時刻が日ごとに設定されます。
MMXはいつ火星に着く?いつ地球に戻る?
火星圏への到着は2027年、地球への帰還は2031年の予定です。試料を入れたカプセルは、オーストラリアに着陸する計画です。
サンプルは何グラム持ち帰る?
10グラム以上の採取が目標です。少なく感じるかもしれませんが、火星圏から試料を持ち帰れれば世界初になります。
MMXは「はやぶさ」の仲間ですか?
直接の続編ではありませんが、はやぶさ・はやぶさ2で積み上げた、小天体に降りて試料を持ち帰る技術が土台になっています。川勝さんも、はやぶさ2でサンプルリターンの技術を確立できたことが、国際協力で進められる理由になったと語っています。
まとめ:夜明け前のロケットを、ニュースで追いかけよう
MMXは、10月20日の午前4時41分03秒に打ち上げ予定です。目指すのは、火星の衛星フォボスの砂を地球へ持ち帰る、世界初の挑戦です。帰還は2031年で、旅は5年がかりになります。
今回は、H3ロケットにとっても、失敗後の信頼を取り戻す大事な打ち上げです。成功したら、朝のニュースで大きく扱われるはずなので、雑談のネタに困らないでしょう。延期の可能性もあるので、JAXAの公式サイトや公式Xで最新の情報を確認しながら、見守ってみてください。
参考ソース
- JAXA「H3ロケット10号機による火星衛星探査機(MMX)の打上げ」(2026/8/20) https://www.jaxa.jp/press/2026/08/20260820-1_j.html
- JAXA「Launch time of the Martian Moons eXploration (MMX) spacecraft aboard H3 Launch Vehicle Flight No.10」(2026/10/18) https://global.jaxa.jp/press/2026/10/20261018-1_e.html
- ファン!ファン!JAXA!「MMX×H3ロケット10号機特設サイト」 https://fanfun.jaxa.jp/countdown/mmx_h3f10/index.html
- TBS NEWS DIG(南日本放送)「【ライブ配信】H3ロケット10号機 打ち上げへ 火星衛星探査機「MMX」搭載」(2026/10/17) https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/3019297?display=1
- FNNプライムオンライン(鹿児島テレビ)「JAXA火星衛星探査機「MMX」10月20日打ち上げ 衛星「フォボス」のサンプル採取は“世界初”の挑戦」(2026/10/16) https://www.fnn.jp/articles/-/1133881
- sorae「JAXAが火星衛星探査機「MMX」を搭載する「H3」ロケット10号機の打ち上げ予定日を発表」(2026/8/21) https://sorae.info/space/20260821-mmx.html
- アストロアーツ「10月20日打ち上げのH3ロケット10号機と火星衛星探査機「MMX」を観測しよう」(2026/10/15) https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/astroarts/world/astroarts-6ad0794b-14736
- NHKニュース「火星の衛星から砂持ち帰る計画 探査機「MMX」20日打ち上げへ」(2026/10/18) https://news.web.nhk/newsweb

