電気代は11月からいくら上がる?託送料金の値上げを大手9社で比較

秋の夕暮れの住宅と送電線、電気代の請求書に上向きの矢印が添えられたイラスト

11月1日の使用分から、北陸電力を除く大手電力9社の電気代が上がります。標準的な家庭モデルで月254円から590円、いちばん小さい東京電力でも254円です。しかも今回は基本料金が中心の値上げなので、あまり電気を使わない家でも上がります。

「10月に補助金が終わってまた上がったばかりなのに?」と思った方も多いはずです。実は別々の理由が時間差で重なっていて、11月分と12月分の請求は2か月続けて高くなりやすい状況です。この記事では、なぜ上がるのか、自分の地域でいくら上がるのか、請求書にはいつ出るのかを、順番にやさしく整理します。

目次

電気代は11月から何が変わる?大手9社が一斉に値上げ

値上げの正体は「託送料金」の見直し

今回の値上げは、電気を作るための燃料が高くなったから、というわけではありません。電気を家まで運ぶ道具、つまり送電線や電柱、変電所などの利用料が見直されたことが理由です。この利用料を「託送料金」といいます。

たとえるなら、宅配便の「配送料」のようなものです。商品(電気)の値段が同じでも、トラックや運転手のコストが上がれば配送料は上がります。電力会社は送配電会社に託送料金を払って電気を届けてもらっていて、その費用は私たちの電気代に含まれています。

経済産業省は9月4日、送配電会社8社が7月10日に申請していた「収入の見通し」の変更を承認しました。これを受けて各社が託送料金の新しい単価を決め、11月1日から適用されます。承認の内容は、物価や人件費、金利の上昇で、設備の維持や更新にかかるお金が当初の計画より増えた、というものです。

対象は北陸電力を除く大手9社

東京、北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の各電力会社が、託送料金の値上がり分を電気料金に反映します。北陸電力は今回の託送料金見直しの対象に入っておらず、小売の料金改定の発表も今のところ確認されていません。

ドコモでんき、楽天でんき、ソフトバンクの「おうちでんき」といった新電力も、同じ託送料金を負担しているので、値上げを発表しているところが多くなっています。契約先が大手電力ではない方も、案内メールや公式サイトを一度見ておくと安心です。

2か月続けて高くなる?補助金の終了との関係

もうひとつ押さえておきたいのが、国の電気・ガス料金の支援です。資源エネルギー庁によると、2026年7月から9月の使用分について、一般家庭向けの電気は1キロワット時あたり3.5円(暑さの厳しい8月分は4.5円)が値引きされていました。都市ガスも1立方メートルあたり14円(8月は18円)の値引きです。

この支援は9月使用分で終わりました。そのため、10月に使った分から値引きのない料金に戻っていて、請求書に出るのは主に11月分です。つまり、補助金の終了と託送料金の値上げという2つの動きが、少しずつずれて請求書に出てきます。

電気代はいくら上がる?大手9社のモデル家庭を比較

東京電力は月254円、沖縄電力は月590円

各社が発表した、標準的な家庭のモデルでの月額の変化は次のとおりです。契約アンペア数や使う電気の量が会社ごとに違うので、数字の大小だけで「どこが一番上がった」とは比べられません。あくまで目安として見てください。

電力会社モデル改定前改定後月の増加額
北海道電力30A・230kWh11,115円11,596円+481円
東北電力30A・260kWh8,204円8,689円+485円
東京電力EP30A・260kWh9,307円9,561円+254円
中部電力ミライズ30A・260kWh9,252円9,647円+395円
関西電力従量電灯A・260kWh6,175円6,582円+407円
中国電力従量電灯A・260kWh8,742円9,105円+363円
四国電力従量電灯A・260kWh8,894円9,372円+478円
九州電力30A・250kWh6,876円7,243円+367円
沖縄電力260kWh9,174円9,764円+590円

いちばん増えるのは沖縄電力の590円で、東北電力の485円、北海道電力の481円、四国電力の478円が続きます。東京電力は9社のなかでは最も小さい上がり幅です。年に直すと、東京電力で約3,000円、沖縄電力で約7,000円の負担増になる計算です。

なお、各社のモデルには燃料費調整額や再エネ賦課金を含めるかどうかなど、細かい条件の違いがあります。表の金額は各社の公表資料にもとづくもので、実際の請求額は契約内容や使用量で変わります。

「基本料金」が中心なので、使わない家でも上がる

今回の値上げで見落としやすいのが、上がるのが「使った量に応じた料金」ではなく、「基本料金」が中心だという点です。基本料金は、電気を使っても使わなくてもかかる料金です。

たとえば東京電力の30アンペアの契約では、基本料金が935円25銭から1,176円18銭になり、これだけで約241円増えます。さきほどの254円のうち、ほとんどが基本料金の分です。北海道電力、中部電力ミライズ、九州電力でも、基本料金が数百円単位で上がるので、「ほとんど使わない一人暮らし」でも平均的な家庭とあまり変わらない額が上がります。

関西、中国、四国の3社の「従量電灯A」には、アンペアの代わりに最初の少しの使用量まで定額の「最低料金」があります。この最低料金が、関西で約241円、中国で約224円、四国で約286円上がります。

一方で、東北電力と沖縄電力は、使った量にかかる単価も上がります。東北は1キロワット時あたり1.39円、沖縄は1.86円です。この2社は、たくさん使う家ほど増える額が大きくなります。逆に九州電力では、電力量料金の単価は0.04円だけ下がります。それでも基本料金が上がるので、全体としては月367円の増加です。

なぜ中国地方だけ理由が違う?

託送料金の見直しは、基本的に物価や人件費、金利の上昇が理由です。ただ、中国電力のエリアだけは事情が違い、人口が減ったり省エネが進んだりして、電気の使用量が減ったことも見直しの理由とされています。送電線を維持するお金は変わらないのに、電気を使う量が減ると、1キロワット時あたりに割り振る単価が上がりやすくなる、という仕組みです。

電気代の値上げはいつから請求書に出る?11月分と12月分の違い

11月1日以降の使用分から新料金

新しい料金が適用されるのは、11月1日以降に使った分です。ただし、請求書の「11月分」は、10月の検針日から11月の検針日の前日までの使用が対象です。そのため、検針日をまたぐ期間は、10月分の古い料金と11月以降の新しい料金が日数で分けて計算されます。

北海道電力は、11月分の料金について10月31日までの使用分と11月1日以降の使用分を分けて計算すると案内しています。東京電力や九州電力、沖縄電力なども日割りで計算するので、値上げ分がまるごと乗るのは12月分の請求書からです。四国電力の自由料金のプランは、12月分から新しい料金になります。

東京電力の場合、11月分は約1,000〜1,300円高い

東京電力エナジーパートナーが発表した試算では、平均的な家庭の11月分は、10月分より1,032円から1,286円高くなります。金額に幅があるのは、検針日によって、11月分のうち新しい料金で計算される日数が違うからです。

この増加分のうち大きいのは、託送料金の値上げではなく、補助金が終わった分です。260キロワット時を使う家庭なら、3.5円×260キロワット時で910円。燃料費調整額の変化も加わって、1,000円を超える差になります。託送料金の値上げ分が全額そろうのは12月分で、その分を含めると、11月分と12月分の請求書は2か月続けて高くなりやすい状況です。

冬は電気をよく使うので、体感はもう少し重い

11月から12月は暖房を使い始める時期でもあります。値上げの金額は「モデル家庭」の数字ですが、実際の請求額は使用量に左右されます。エアコン暖房やこたつ、電気ストーブを使う時間が増えれば、その分の電力量料金が乗ります。

これまでの記事でも書いてきましたが、2026年の秋は、食料品や外食、電気代と、身近な値上がりが重なっています。たとえば、松屋の牛めし並が480円になった話は松屋の値上げの記事に、白菜が1玉1,000円を超えた背景は白菜が高い理由の記事にまとめています。

新電力や関係者の対応は?自由料金プランも値上げの動き

新電力・ガス会社も次々に改定

託送料金は、契約先が大手電力でも新電力でも、電気料金のなかに含まれています。そのため、ドコモでんきは2026年11月使用分(12月検針分)から料金を改定すると案内していて、楽天でんきも新しい単価を発表しています。ソフトバンクの「おうちでんき」も、11月1日に料金表を改定します。

名古屋の東邦ガスも、11月以降の使用分から電気料金を見直し、ファミリープラン・40アンペア・月320キロワット時のモデルで月525円(11,480円から12,005円)の値上げを発表しました。理由は中部電力パワーグリッドの託送料金の引き上げです。

「安い会社に替えれば避けられる」とは限らない

託送料金は全国の電力会社が共通で負担する費用なので、会社を替えるだけで値上げをまぬがれる、という話ではありません。東邦ガスから中部電力ミライズに替えても、どちらも託送料金の引き上げを受けて値上げをしています。

ただ、新電力のなかには、基本料金や使用量に応じた単価の設計が大手と違うところもあります。切り替えを考えるなら、自分の電気の使用量(明細に載っている「kWh」)で、シミュレーションして比べるのが確実です。キャンペーンの割引額だけで決めるのはおすすめしません。

送配電会社の言い分と、家計の受け止め

送配電会社側は、物価や人件費、金利の上昇で、鉄塔や電線の更新、災害に強い設備づくりを続けるには、収入の見通しを見直さないと足りないと説明しています。関西電力送配電は、見積費用が3兆7,626億円になり、前回の承認から1,496億円増えると発表しています。

一方で、家計にとっては、補助金が終わったタイミングでの値上げが重なるので、負担が重いと感じる人も多いでしょう。設備の維持にお金がかかるのは事実でも、どこまで利用者が負担するのか、効率化をどこまで進めるのかについては、意見が分かれるところです。

私たちの生活・節約への影響と、できる対策

まず明細で確認したい3つのこと

  • 契約しているプラン名とアンペア数(基本料金に直結します)
  • 直近1年の月ごとの使用量(冬にどれくらい増えるか)
  • 11月分と12月分の請求書で、基本料金の欄が前の月とどう違うか

基本料金が上がるタイプの値上げは、使い方を変えても減らせない部分が大きくなります。その分、契約アンペアが今の暮らしに合っているかを見直す価値があります。たとえば、ブレーカーが落ちた経験がほとんどなく、30アンペアで余裕がある家庭が40アンペアで契約していたら、下げられる可能性があります。ただし、同時に使う家電の数や季節で必要な量は変わるので、電力会社のサイトで確認してからにしましょう。

電力量料金は、使い方で減らせる

使用量にかかる部分は、工夫すれば減らせます。冬は暖房が中心です。設定温度を1度下げる、フィルターを掃除する、カーテンで窓からの冷気を防ぐ、といった基本的なことが、積み重ねると効きます。家の中で使っていない部屋のコンセントや待機電力を見直すのも、地味ですが効果があります。

電気とガスをまとめて見直すなら、いまが検討しどき

電気とガスをセットで契約すると割引になるサービスもあります。ただし、割引の条件が複雑なこともあるので、契約期間や解約の違約金がないかを必ず確認してください。

雑談で使えるひと言ネタ3つ

ネタ1:電気代の値上げ、実は電気そのものの値段じゃない

「今回の値上げは、電気の値段というより、電気を運ぶ送電線の利用料が上がったからなんだって」と話すと、「へえ」と言われやすい話題です。電気代の中身は、電気そのものの値段だけではなく、運ぶ料金や賦課金なども入っている、と知るきっかけになります。

ネタ2:使わなくても上がるのが今回の特徴

「あまり使わない人でも上がるのが、今回の値上げのイヤなところだよね」。基本料金が中心の値上げなので、一人暮らしでも、ほとんど家にいない人でも、同じように上がります。節約したくても減らせない部分が増えるので、共感されやすい一言です。

ネタ3:検針日で請求書の金額がずれる

「うちは11月分の請求が先に出て、あなたのは12月分から全額なんだよね」。検針日が違うと、新しい料金が何日分にかかるかが変わります。同じ地域に住んでいる同僚でも、請求額が少し違うのは、このためです。

電気代の値上げに関するよくある質問

Q. 電気代の値上げはいつから?

2026年11月1日の使用分からです。11月分の請求書には、11月1日以降の日数の分だけが新しい料金で入ります。

Q. 東京電力でいくら上がる?

東京電力エナジーパートナーの発表では、30アンペア・260キロワット時のモデルで、9,307円から9,561円へ、月254円の値上げです。基本料金は935円25銭から1,176円18銭になります。

Q. 電気をほとんど使わなくても上がる?

はい。今回は基本料金や最低料金が中心に上がるので、ほとんど使わない家庭でも上がります。

Q. 補助金はもう終わったの?

2026年7月から9月の使用分で終わりました。10月の使用分から値引きがなくなり、請求書では主に11月分から反映されています。

Q. 北陸電力は上がらない?

北陸電力は、今回の託送料金見直しの対象に入っておらず、小売料金の改定発表も現時点で確認できていません。ただし、今後の発表で変わる可能性があるので、契約先の案内を確認してください。

Q. 新電力でも値上げされる?

多くの新電力が、託送料金の値上げ分を料金に反映すると発表しています。時期や金額は会社やプランで違うので、契約先の案内を確認してください。

まとめ:11月分と12月分の請求が重くなる。基本料金の欄を見よう

11月1日から、北陸電力を除く大手電力9社が、託送料金の見直しを電気料金に反映します。モデル家庭で月254円から590円の値上げで、基本料金が中心なので、ほとんど使わない家でも上がります。

11月分の請求書は補助金の終了で、12月分は託送料金の値上げで、それぞれ重くなる見込みです。まずは明細で契約アンペアと使用量を確認し、冬に向けて暖房の使い方を見直してみてください。続報や各社の正式な料金表は、契約している電力会社のお知らせで確認できます。

食料品の消費税をめぐる動きなど、家計に関わる話題は食料品の消費税1%の記事でも解説しています。あわせて読んでみてください。

参考ソース

  • 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援 https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/
  • 中部電力ミライズ「託送料金の変更に伴う電気料金の見直しおよび特定小売供給約款の変更届出について」(2026/9/29) https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1218392_1938.html
  • 北海道電力「託送料金の見直しに伴う電気料金の見直しについて」(2026/9/25) https://www.hepco.co.jp/info/2026/1253193_2073.html
  • 東北電力「託送料金の変更に伴う電気料金の見直しについて」(2026/9/28) https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1249044_2558.html
  • 中国電力「電気料金メニューの見直し(託送料金見直しの反映)について」(2026/9/28) https://www.energia.co.jp/press/2026/16629.html
  • 四国電力「託送料金見直しの小売電気料金への反映および特定小売供給約款の変更届出について」(2026/9/28) https://www.yonden.co.jp/assets/pdf/corporate/ir/irpublish/20260929_takusou.pdf
  • 関西電力送配電「託送料金における収入の見通しの変更承認について」(2026/9/4) https://www.kansai-td.co.jp/new-consignment-fee/detail_20260710.html
  • ほくでんネットワーク「託送供給等に係る収入の見通しの変更承認について」(2026/9/4) https://www.hepco.co.jp/network/info/2026/1253176_2077.html
  • 日本経済新聞「電力8社「託送料金」値上げ届け出 首都圏家庭で最大月239円負担増」(2026/9/11) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1173L0R10C26A9000000/
  • 共同通信「東電、11月託送料値上げ 電気代最大239円上昇」(2026/9/4) https://www.kochinews.co.jp/article/detail/1041159
  • TERA WHAT「託送収入の見通し、8社を承認 11月から新料金」(2026/9/4) https://terawhat.jp/20260904-001.html
  • @next「11月から電気代がまた上がる?値引き終了とは別に、東京電力は月254円」(2026/10/16) https://at-next.jp/jiji-news/31648/
  • セレクトラ「11月から電気代が月590円アップも?大手電力9社が一斉値上げ」(2026/9/30) https://selectra.jp/energy/news/electricity-price-increase-november-2026-wheeling-fee
  • セレクトラ「東邦ガスの電気が11月から値上げ、モデル家庭で月525円アップ」(2026/10/15) https://selectra.jp/energy/news/tohogas-electricity-price-increase-november-2026
  • 楽天でんき「託送料金の値上げに伴う楽天でんき料金改定および新単価のお知らせ」(2026/10/2) https://energy.rakuten.co.jp/info/20261002.html
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