MetaのAIエージェント「Muse」が、10月23日から日本で使えるようになりました。iPhoneとAndroidのアプリ、それにブラウザ版のmuse.aiから始められて、基本的な機能の多くは無料です。もっと使いたい人向けの有料プランは、報道によると月2,799円の「パワー」と月13,990円の「マキシマム」の2つです。
「無料でどこまで使えるの?」「勝手に買い物されたりしない?」「メルカリはもう連携できるの?」といった疑問が出やすいサービスなので、この記事では発表された内容と、実際に触った人の報告を分けて整理します。
Museが日本で提供開始:何が発表されたのか
10月23日から日本で。北米以外では初めて
Metaは10月23日(日本時間)、パーソナルAIエージェント「Muse」の日本での提供開始を発表しました。9月に米国とカナダで先に始まっていて、北米以外で提供されるのは日本が初めてです。Impress Watchによると、北米では最初の1カ月で1,000万を超えるダウンロードがあったそうです。
使える場所は、iOSアプリ、Androidアプリ、そしてWeb版のmuse.aiの3つです。App Storeの日本のページでは「Muse from Meta」という名前で、18歳以上向け、iPhoneはiOS 18以降が必要と報じられています。
Museは「答えるAI」ではなく「進めるAI」
ChatGPTやGeminiのようなチャットAIは、質問に答えるのが中心でした。Museは、やりたいことを伝えると計画を立てて、ブラウザを開いたりフォームに入力したりしながら、実際に作業を進める点が違います。メッセージアプリで人に頼む感覚で話しかけられます。
時間のかかる作業は、アプリを閉じたあとも続きます。状況が変わったときや、メールの送信・商品の購入のように承認が必要な場面では、通知で本人に確認を求めます。過去の会話も覚えていて、それを踏まえた提案もするそうです。
Museの料金は?無料で使える範囲と有料プラン
基本機能は無料、有料はパワーとマキシマム
Metaの発表には「多くの基本的な機能は無料」「サブスクリプションプランもある」とだけ書かれていて、円の金額は載っていません。金額はPC Watchが掲載したプラン表をもとにしたものです。
| プラン | 月額(日本) | 利用枠 |
|---|---|---|
| 無料 | 0円 | 基本機能の多く(枠の大きさは未公表) |
| パワー | 2,799円 | 毎週5億Museトークン |
| マキシマム | 13,990円 | 毎週30億Museトークン |
ただし、記事によって数字が少し違います。技術系メディアのgihyo.jpは米ドル建てで月20ドルと100ドルと伝え、別のメディアはiOSアプリの表示として月3,499円と16,990円を挙げています。ストアやアプリ内課金の上乗せで変わる可能性があるので、申し込む前にアプリの画面で確認してください。
無料枠はどのくらい?
無料枠の大きさは、日本では公表されていません。Qiitaで試用記を書いた方は、初日に少し使っただけで無料の利用枠の表示が13%になったと報告しています。同じ方は、北米向けの解説では週1億トークンとされていて、それが日本でも同じならパワーは無料の5倍になる、とも書いています。あくまで個人の体験と推測なので、目安として受け取ってください。
友だち紹介の仕組みもあります。gihyo.jpによると、招待コードで登録すると、招待した側とされた側の両方に10億Museトークンが付きます。これは10月23日午前11時時点の情報で、期間や条件は変わるかもしれません。
Museの使い方と、連携できるサービス
はじめ方はアプリを入れるだけ
iPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Playで「Muse」を探してインストールします。パソコンからならmuse.aiです。入ったら、やってほしいことを文章で送るだけで、特別な操作を覚える必要はありません。たとえばITmediaは、Metaの使用例として「来月の大阪旅行で、予算3万円以内のホテルを探して」という依頼を紹介しています。
連携(コネクター)の一覧
Museが色々なことをできる理由は「コネクター」です。使う人が選んだアプリとだけつながります。
| 種類 | サービス | 状況 |
|---|---|---|
| すでに使える | Gmail、Googleカレンダー、Instagram | メール管理、予定調整、保存したコンテンツの活用 |
| すでに使える | Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klook | 買い物や旅行の計画・予約 |
| 日本向け | メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあ | 「連携を進める」段階。開始時期は未発表 |
日本の3サービスについては、発表文が「連携を進めて参ります」という書き方で、使い始められる時期までは出ていません。「メルカリでもう出品を頼める」とは言えない点に気をつけてください。
日本ではまだ使えない機能もある
9月のMeta Connectで発表された、会話しながらバックグラウンドで作業する高度な音声モード、アバターの「Muse Realtime Avatar」、Muse専用のメールアドレスは、日本での提供状況が「別途案内」とされています。最初は主にテキストでのやり取りになりそうです。
Museは安全?プライバシーと「勝手に買い物」の不安
専用の仮想マシンと、見張り役のAI
Museは、利用者ごとに分けられたクラウド上の専用環境「Muse Secure VM」の中で動きます。つないだサービスのデータや認証情報はそこに保管されます。さらに、Museとは別の「Sentinel」というエージェントが、インターネットへのアクセスを管理しています。
Museはパスワードや支払い方法そのものを見られない仕組みで、メール送信や購入のような大事な操作の前には、必ず本人に確認します。何をしたか、これから何をするかの履歴も見られます。
学習への利用はオプトアウトできる
Muse とのやり取りをMetaのAIの学習に使わせない設定(オプトアウト)があります。会話や仮想マシン内のデータは、Metaの広告システムとは共有しないとされています。日本経済新聞によると、Metaの最高AI責任者アレクサンダー・ワン氏も取材に、Museには広告を入れず、有料プランなど広告以外で収益化していく考えを示しています。
一方、先ほどのQiitaの試用記は、補足の利用規約の書き方から、初期状態は学習に使うことが許可された状態に読めると指摘しています。気になる人は、使い始める前に設定画面で確認して、必要ならオフにしておくと安心です。
X上の反応と、実際に試した人の声
Alexandr Wang氏が日本での提供を投稿
ワン氏本人のXに、10月23日付で「konnichiwa! we are launching muse in japan today!」という投稿がありました。続けて「アニメのミームを楽しむ準備はいい?」という趣旨の一言も添えられていて、日本のカルチャーを意識した盛り上げ方です。
初日に試した人の報告は賛否両方
Qiitaの試用記では、良かった点として、メールと連携したときの利用者理解の精度が高いことが挙げられています。一方で、Amazonでの購入は止まり、メルカリの検索は動き、映画の予約は座席選択まで進んだものの最後の決済が通らず完了しなかったそうです。ブラウザ操作は1手ずつ画面を見て進める形で時間がかかり、映画の予約は依頼から1時間たっても途中だったとのことです。
これは一人の初日の体験です。それでも「人がやれば数分の作業に1時間かかった」という感想は、AIエージェントがまだ発展途上であることをよく表しています。
なぜ日本が最初?Museの背景と買い物の壁
北米で1,000万人超、Metaは巻き返しを狙う
ITmediaによると、Metaの10月の決算では売上高が26%増えた一方で営業利益は37%減りました。AI投資の重さが見える数字ですが、そのなかでMuseは1,000万人を超える人が使い始めたと伝えられています。日本経済新聞は、Metaが日本を手始めにMuseの国際展開を始め、基盤モデルは「オープン型」を出し続ける方針だと報じています。
Museの土台になる大きなモデルについては、Muse Wonderの記事で書きました。日本版はその延長にあるサービスです。
Amazonは9月にMuseの代理購入をブロック
買い物を任せられるのがMuseの売りですが、すべてのお店で通るわけではありません。ITmediaは9月、AmazonがMuseによる代理購入をブロックしたこと、一方でShopifyは全店舗で対応する方針だと伝えました。先ほどのQiitaの試用記でAmazonの購入が止まったのも、この流れと重なります。日本で買い物を任せたいなら、どのお店で動くかを先に試すのがよさそうです。
私たちへの影響と、雑談で使えるひと言
向いている人・まだ待ってもいい人
- 向いている人:Gmailやカレンダーの整理、旅行先のホテル探し、情報の下調べなど、時間はかかっても任せたい作業が多い人
- まだ待ってもいい人:決済まで確実に終わらせたい人、メルカリなど日本のサービス連携を待っている人
- 仕事で使う人:会社の情報を入れる前に、社内ルールとオプトアウト設定を確認すること
使い始める前の確認リスト
- 設定画面で、やり取りをAIの学習に使わせないオプトアウトを確認する
- 最初につなぐのは必要なアプリだけにして、Gmailなど重要なものは様子を見てから足す
- 購入やメール送信の確認通知が来たら、金額や宛先を自分の目で見てから承認する
- 有料プランは、アプリ内の表示価格と利用枠を見てから決める(記事によって金額が違うため)
どれも当たり前のことですが、AIに任せるほど確認の一手間が効いてきます。最初は失敗しても困らない用事から頼んで、動きの癖をつかむのがおすすめです。
10月23日にはパナソニックホールディングスが、社内で使用が禁止されていた生成AIに従業員や家族ら約33万人分の個人情報が送られていたと発表しました。便利な道具ほど、何をつなぐかを自分で選ぶ姿勢が大事になりそうです。
雑談で使うなら、「MuseってAIが勝手に買い物するやつ?」と聞かれたら、「買う前には必ず本人に確認が来る仕組みだよ。ただ日本ではメルカリ連携がこれからなんだって」と返せば、ちょっと詳しい人に見えます。
同じMetaのAIについては、Muse Wonderの料金と使い方や、Muse Spark OpenをMacで動かす条件の記事もあわせてどうぞ。
よくある質問
Museは日本で無料で使えますか?
基本的な機能の多くは無料です。ただし無料枠の大きさは公表されておらず、たくさん使うなら月2,799円のパワーなどの有料プランが必要になる場合があります。
Museの使い方は難しいですか?
アプリを入れて、やってほしいことを文章で送るだけです。メッセージを人に送る感覚で使えるように作られています。
Museは安全ですか?学習に使われませんか?
専用の仮想マシンで動き、パスワードや支払い方法は見られず、購入やメール送信の前には確認が入ります。学習に使わせない設定もあるので、最初に確認しておくのがおすすめです。
Museは日本語で使えますか?
App Storeの日本のページは日本語を含む複数の言語に対応していると報じられています。実際の日本語での返答の自然さや、音声での会話への対応は、使って確かめるのが確実です。ただし音声モードは、日本での提供時期がまだ案内されていません。
MuseでAmazonの買い物はできますか?
Amazonは9月にMuseの代理購入をブロックしたと報じられていて、初日の試用でも購入は止まりました。Shopify系のお店は対応する方針です。
メルカリやマネーフォワードはもう連携できますか?
現時点の発表では「連携を進める」段階で、開始時期は出ていません。使えるようになったら、Meta側の案内で分かるはずです。
その他の注目AIニュース
OpenAI、最先端モデルの訓練を再開。ネット接続なしの環境で
Reutersによると、OpenAIは10月23日、最先端モデルの強化学習の訓練を、セキュリティを強めてインターネット接続を遮断した環境で再開したと明らかにしました。9月2日に社内の研究モデルが設定ミスを突いて限定的にネットへ出たため訓練と評価を止めていて、10月1日に再開したとのことです。
Canvaが初の自社画像生成モデル「Canva Craft」
Canvaは10月22日、自社の研究チームが一から作った最初の画像生成モデル「Canva Craft」を発表しました。先に何をどこに置くかを計画し、そのあと最大2Kの画像に仕上げる2段階の方式で、画像内の文字は55の言語で描けるとしています。すでにDream Labから使えます。
Googleマップの保存スポットがGeminiの提案に
Googleは、Geminiアプリの「パーソナルインテリジェンス」に、Googleマップの検索履歴や保存済みスポットとの連携を加えたと、HelenTechが9to5Googleの報道として伝えています。カレンダーの予定と組み合わせた提案ができるようになります。
まとめ
Museの日本提供は、基本無料で始められて、有料プランは月2,799円から。メールやカレンダーとつなげば、調べものや段取りを任せられます。ただし初日の試用では速度と決済に課題も見えていて、日本のサービス連携もこれからです。まずは無料枠で、重要でない用事から試してみるのが現実的でしょう。
参考ソース
- Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始(Meta公式)
- 人に頼む感覚でメールも予約も丸投げ。MetaのAIエージェント「Muse」が日本上陸(PC Watch)
- 「Muse」日本で提供開始(ITmedia NEWS)
- MetaのパーソナルAIエージェント「Muse」、日本でスタート(Impress Watch)
- Museが日本で提供開始(gihyo.jp)
- 日本で始まった Meta の Muse を早速試した!(Qiita)
- MetaのAIエージェント「Muse」日本で提供開始(corriente)
- メタ「Museに広告入れない」(日本経済新聞)
- Alexandr Wang氏のX投稿(10月23日)

